【ふるさと納税体験記】 ふるさと納税ってうさん臭い…からの、いろいろ調べて使ってみる(その1)
わーい伊勢海老だー(注:本文とは(まだ)関係ありません)
さて、本文。
WBSとかでも最近よく取り上げられる、ふるさと納税。「ふるさとチョイス」とかはCMも結構出してたね。
正直最近まで「納税」なのか「寄付」なのかもわからず、「お得よ!」という声を聞いてもうさん臭さを感じていましたが。
ただ、最近の総務省の「3割規制」もあって話題になっていることもあり、ちゃんと理解しておきたいと思ったので、習うより慣れよ!リーンだ!アジャイルだ!ベンチャースピリット(?)!ということで、調べながら試してみることにします。
さて、まずは基礎知識から
主幹となっている総務省のポータルサイト(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html)とウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E7%B4%8D%E7%A8%8E)あたりを読み込めば正確な情報があるわけですが、主観的に改めて知った/気が付いた点をざっくりまとめていきます。
■ ざっくりまとめると
・ 「個人住民税」の制度の一つ(個人住民税の寄附金税制が拡充されたもの)
・ 任意の地方自治体へ寄付を行うと、そのうちの大部分(上限あります)が自らの住民税から差し引かれる
(例えば5万円を「どこかの自治体」に「寄付」すると、翌年の住民税からこの5万円分(実際は4.8万円とか)が差し引かれる)
・ これだけだったら寄付した人には何の得もないが、ポイントはこの「寄付」に対して、各自治体が「返礼品」を返している、という点
・ 「返礼品」は「寄付金」の額に応じて、各自治体が独自に揃えている。おおむね寄付金額の2-3割、ものによっては5割くらい相当の「返礼品」が存在
・ これを受け、「寄付金額が住民税から控除されるのであれば、実質負担は(ほぼ)ゼロ。返礼品がもらえるということは、その分がプラスになるじゃんYay!」ということになります
・ もう一つのポイントは、「ふるさと納税」と言いつつ、この「ふるさと」は実質「どこでもいーよ」という点
以下goo辞書から出典しますが、通常「ふるさと」からイメージするのは以下の「1」ですよね。若干「3」もありだな、みたいな。
ふる‐さと【古里/▽故里/▽故▽郷】 の意味
出典:デジタル大辞泉
1 自分の生まれ育った土地。故郷 (こきょう) 。郷里。「―に帰る」
2 荒れ果てた古い土地。特に、都などがあったが今は衰えている土地。
「君により言の繁きを―の明日香 (あすか) の川にみそぎしに行く」〈万・六二六〉
3 以前住んでいた、また、前に行ったことのある土地。
「ひとはいさ心もしらず―は花ぞ昔の香に匂ひける」〈古今・春上〉
4 宮仕え先や旅先に対して、自分の家。自宅。
「見どころもなき―の木立を見るにも」〈紫式部日記〉
ですが、この「ふるさと納税」においては、「貢献・支援したいと思う地域」も定義に含むようです。このあたり、苦心した経緯が総務省のふるさと納税関連資料から確認できます。
※あー、役人も大変だなあ…というのがわかるので、読んでみると面白いですw
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/furusato_tax/pdf/070718_1_si3.pdf
…ということで、「ふるさと納税で節税だー」ということが可能、かつ、寄付先は生まれ故郷じゃなくてもどこの自治体への寄付でもOK(中には返礼品が換金しやすい金券だったりする自治体も…)!で、利用する人がお得になるわけです。
でも金額大したことないんじゃないの?せいぜい1-2万円?なんかうさん臭いし、面倒だからいいや。どーせ役所だから申告書郵送したりとかでしょ?
というのが数日前までの私のスタンスだったのですが、「住民税から控除可能な寄付金っていくらまで?」というのを、ふるさと納税ポータル最大手の「ふるさとチョイス」でやってみたところ、だいたい年収1000万円前後で15万円とか18万円とか。500万円くらいで7-8万円くらい。というのが、目安と考えてよさそうです。お、それなりな…
※勤務形態、配偶者控除有無、世帯構成、社会保険料等もろもろで変わりますが、一般的な民間企業勤務のサラリーマンの目安としてとらえてね。
https://www.furusato-tax.jp/mypage-simulation.html
つまり、年収1000万円くらいの人は、住民税は50万円以上取られていると思いますが、15万円分をどこかの自治体に「寄付」して、約5万円相当の「返礼品」をenjoy(人によっては換金したり…)すると、翌年の住民税が15万円減額される。ということは、実質負担ほぼゼロで5万円ゲット!みたいなこと、と理解してよさそうです。
5万円とすると、100万円株式やら投信やらで預けての想定利回りがこのくらいかな。ということで、100万円での投資にかかる労力くらいはかけてもよいかもしれないね。
・・・はい、と、これが私の「ふるさと納税」ざっくり理解。
うーん。まぁ、お得っぽいことは分かったけれど、定義的な部分で正直突っ込みたくなって仕方ない。
(以下ブツブツ独り言:「ふるさと」って言葉が一人歩きするわけだけど、フツーに考えて「『ふるさと』とは、『支援したいと思う地域』である」なんて考えないからなんかうさん臭さを感じちゃうし、「大体いくらくらいお得なの?」という情報が見当たらないから(どのサイトも「人によって違うからシミュレーションしてみましょう」というレベル)まー情報素通りするし。という普及面での指摘がまず第一。こんだけ複雑な仕組みとミスリーディングなネーミングだと、ちゃんと理解できる人じゃないと手を出さない。→情報格差による経済格差を生むような仕組みなんじゃないの?まぁ他の何とか補助金とか全部そうだけどさ。知らない人は(機会を)損して格差が広がる。これは利用者側だけじゃなく自治体側もそうだよね。これをうまく使える自治体はもうかるけれど、そうじゃないところはもうからない。そうした情報格差を利用して、代理店やら何とかプランナーが儲ける、というのはあまり助長しすぎないほうが良いと思います。日本の国が作る制度とか仕組みってホント複雑怪奇で、このせいで労働生産性が低いんじゃないの?と邪推もしたくなる。むかむか。笑
(今度書こうと思うけど、これは国が作る制度だけじゃない気がする。日本から生まれる商品も、ビジネスモデルも、緻密に設計しすぎて理解しづらいものが多い。商品でいえば例えば日本のケータイって超多機能いろいろごちゃごちゃ入ってます、あれもこれも、というものを作り上げていて、iPhoneに負けちゃう。ビジネスモデルでいえば例えば最近見たものでは都内で進められているシェアサイクル。一回利用、一日利用、定期利用…と使い方によって金額プランが細かく設定されていてどれが良いのかようわからぬ→まぁ使わなくていいや、となっちゃう。シェアサイクルは中国で16年から爆発的に普及しているけれど、あれは「30分1元」みたいな超シンプルプランのみ。情報が大量に飛び交っている時代だからこそ、そういうわかりやすさは必要だと思うのよね…)
それに、「どの自治体への支援も可能」だったら普通に考えて(私性悪論者です笑)換金率(還元率)が高い自治体(商品)に一極集中して、もともとそれぞれの自治体が得られる住民税が減ってしまうという財源分配の問題もあるんじゃない?その減少分の住民税の補填も行われる、という話もあるけれど、還元率が高くて有名になった自治体が一気に数十億円を手にしてバブリーにいろんな投資をしている、というニュースを見たあとに、都内のある区報の税収報告で大幅減少の理由を「ふるさと納税による減収」というのを見ると、うーん、こんな再分配のされ方は正しいの?そもそも住民税はその自治体に住んでいることによる受益分に対して支払っているのに、それと別の自治体に分配していいの?という気になるんだけど。確かカンブリア宮殿で村上龍も言っていたけれど、この仕組みは長続きしない気がするだよ。といっても日本だからいきなり止めたりもできず、徐々に制度を厳しめにしていって5年10年後に自然消滅、というのが妥当な読みかな…
と、ある程度毒を吐いてすっきりした(しないけど)ところで、話を進めます(笑)
■ 経緯と普及推移(利用者数・利用金額等)
・ 2006年の福井県知事による「故郷寄付金控除」導入の提言が契機
(政府立案じゃなかったんだ!)
・ 2007年に総務省が創設を表明
(あら、意外と動き早いじゃん、政府)
・ 2008年からスタート
(この数年かと思ったら、もう10年近く運用されてるんだ…)
・ 2008年の利用者は3万人強。直近発表されている2015年の利用者は約130万人。
(↓参照元はWikipedia。わかりづらいのでグラフにしてみた)
はじめの3年間はほとんど利用者数変わってないですね。
それが11年に一気に急増して74万人に。
これは東日本大震災の影響らしいです。以下Wikipedia出典。
制定時には全く考慮されていなかった用途として、大災害の際に義援金目的と見られる多額の寄付が当制度を利用してなされることがある。一例として、2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)においては、発災から約2箇月の時点で、主要被災地の各県(岩手県・宮城県・福島県)宛てだけでも、平成22年(2010年)の全国寄付総額の6倍以上の寄付がなされた。
その後12年は10万人の水準に戻ったものの、14年・15年で爆発的に増加。
15年は130万人。ちょうど人口の100人に一人が使った計算。
30代くらいの人だったら、ちょっと周りの10人くらいに聞いたら一人くらいやっていた、そんな雰囲気でしょう。
その後話題が一気に広まっているので、多分今は(17年は)500万人近くに増えているんじゃないかなぁ。山勘だけど。
同じくWikipediaから、寄付金額(単位:百万円)の推移も見れます。ついでにグラフ化!
まあ、おおむね利用者数と同じ形ですな。
15年は約1500億円!
それでも驚きですが、10日前に総務省から「16年度は2800億円超」と倍近くに増えたことが発表されています。
さらについでに一人当たり寄付金額(単位:千円)も乗せてみる。折れ線、右軸です。
制度開始直後(2008年)は一人当たり20万円強。
これは年収1500万円くらいの人の上限?なので、一部の高額寄付者(たまに「数億円」という人がいるらしい)が引き上げていたと思われます。
裾野が広がったと思われる11年には一人当たり寄付金額下がっているしね。
「控除額」もあったのでこれも乗せてみます(緑色の棒グラフ。単位:百万円)。それだけだとわかりづらいので、寄付金額に占める控除額の%(折れ線)も。
こうしてみると、もともと25%前後だった控除額比率が順調に(?)上昇し、15年にはすでに70%近くに達している、と。
つまり、控除できる分だけ寄付する、という人が増えている、ってことか。
なお、総務省のサイトでは都道府県別の利用者数・寄付金額・控除額も載っています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000474162.pdf
これをベースに、2015年の都道府県別にランキング(ふるさと納税の寄附金税額控除適用者・適用額等)を作ってみると…
※「寄付先の自治体」ではなく、「寄付した人の居住する自治体」の数字です。
利用者が最も多いのは東京の27万人。
2位の神奈川をダブルスコアで引き離しています。
金額も同様に東京が圧勝の400億近くで、全体の1/4超を占めています。
基本、かなり首都圏に一極集中しているのね、という印象。
ちなみに寄付金額を利用者で割ったグラフ(=平均の利用者一人当たり寄付金額)がこちら。
東京が1位というのは変わりませんが、なんと長野・山形・鹿児島と、地方勢が一気に上位に入ってきます。あ、鳥取は相変わらずですが…あと、思ったより差がないね。9万円~15万円の中に全部収まってる。
ちなみに長野には、2011年に東北3県に7億円寄付した人がいたそうな。
いわゆる「日本の平均年収」論のときによくある話です。平均値だけでなく中間値も見たほうが正しい理解ができる、という。いずれにせよ、利用者数、というより、こうした人の有無で変わる部分もある様子。
そろそろ面倒くさくなってきたのですが(本音)、ついでなので、「結局人口の多い都道府県が利用者多いってだけでしょ」という気もしてしまうので、国勢調査(2015年)の都道府県別人口の数字を使って「利用者数/人口=利用率」も出してみました。
あら私ったらサービス精神旺盛…
ランキングの傾向は、結局「首都>首都圏>地方中核都市>地方」なわけですが、驚いたのは上位と下位で6倍もの格差があったこと。
東京都2.00%に対して、秋田県0.31%。
へー。
あ、正確には給与所得者数でみたほうが良いから、就労人口で出したほうがよさそうね。高齢化の進んだ地方は母数が減りそう。とはいえ、それでも3-4倍くらいの格差はありそうな気がするなぁ。ふーん。
■ 使ってみる
さて、下調べは済んだので、そろそろ使ってみます!
…と思いましたが、ここまで書くのに3時間もかかってしまったので(PDFの数表のエクセル抽出に時間かけすぎたw)、今日はここまで。
尚、利用予定はカンブリア宮殿でも紹介されていた「ふるさとチョイス」。
12年に創業の「トラストバンク」が運営しています。
使ってみたレポートはまた後日…気が向いたら…
あ、オススメあったら誰か教えてください。笑