anemog and the City

あれも、これも。どこででも。

中華思想


中国留学時代、いや留学と呼べるほど長くいたわけではないが、
ともかく中国にいたころ、こんな経験があった。




ある日、アメリカの大学時代の香港人の友人が北京に遊びに来るというので、待ち合わせをした。
夜の8時に、"World Hotel"で、という指定をされた。
その友人は家族と来ていて、皆でそこに泊まっているらしい。


7時半ごろ、北京大学の留学生寮を出て、タクシーを拾う。
そのころには何とか行き先を伝えるほどの中国語は出来るようになっていたので、
とりあえず、乗り込む。

それと同時に、"World Hotel"→"世界飯店"、という直訳を運転手に告げる。
言いながらも(随分大見得を切った名前だな…)と思いつつ。

運転手の動作が、一瞬、止まる。
(あれ?通じない?)とドキっとしたが、もう一度、はっきりと"世界飯店へ"、と伝える。


返ってきたのは思いもよらない返事だった。
「どこだい、それ」

いや、確かアイツは「有名なホテルだから名前を教えれば連れてってくれるよ」、と言っていたはず。
とりあえず、車を出してもらい、色々説明。北京の、有名なホテルで、
英語名はworld hotel、もしかしたら中国名は違うのかも、などなど。
運転手さんは意外に優しく、窓から顔を出して他のタクシー運転手にも聞いてくれている。

「世界(世界=Shijie)飯店…もしかしたら、21世紀(世紀=Shiji)飯店か?」
そう言われてみると…そうなのか?
代替案は見つからないし、友人はケータイを持っていない。

とりあえず、そこへ連れて行ってもらった。
ロビーで友人の名前を調べてもらうが、やはり違うようだ。

英語の通じない「英語の話せる」フロント係に、窮状を伝える。
七転八倒しながらも、何とかそのホテルは「中国大飯店」であることが判明・・・


その後、1時間ほど遅れて現れたワタシを快く迎えてくれた友人。非常謝謝。





教訓。

1.ケータイを自分/もしくは相手が持っていないときは、先の先まで予想すること。時には持っていないことすら忘れてしまうので要注意。

2.ホテルのサービス係に英語で話しかけると、英語の出来ない「自称英語が出来る」フロント係が現れる。
自分の拙い中国語の方がよっぽどマシと思えても、一度「自称英語対応係」が現れてから中国語で話しかけることは勇気がいる。ある程度の自信があったら、始めから中国語で話そう。

2.中国 = 世界の中心、という発想は、当然のようにそこにある。文句は言わず、慣れるほうが面倒は100分の1ですむ。